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伝統の製法を受け継ぎ栗本来の素材感と風味にこだわった銘菓 緑屋老舗 栗金飩

20150423
 かつて木曽川の川湊として名を馳せた加茂郡八百津町は、岐阜県内でも有数の和菓子どころとして知られている。

 中でも有限会社緑屋老舗は明治5(1872)年創業の老舗。三代目翠翁・白木鍵次郎氏は、宮本武蔵が修行したと伝えられる臨済宗妙心寺派の古刹「大仙寺」住職の助言を受け、美濃で最初に「栗金飩」を創製したとされる。三代目翠翁は名古屋から和菓子職人を呼び寄せて自らの技術を磨くなど、たいそう研究熱心な人物であったようだ。当時は栗の収穫も今ほど多くはなく、集荷に大変苦労したという。

 祖先から受け継いだ伝統の製法で「栗金飩」の味を守るのは、六代目の白木恭之さん。「『栗金飩』は素材がすべて。使う栗は陽ざしをいっぱいに浴びて育った八百津町近辺で採れたもの。50軒ほどの農家さんが収穫したばかりの栗をその日のうちに持ってきてくれます。9、10月の最盛期には、朝4時ごろから栗を蒸し始めます。皮をむいて中身を出し、少量の砂糖を加えて炊いた栗を茶巾で絞っている間に、次を蒸し上げる。これを繰り返し1日に約8千個を製造します。常にできたてに近いものを食べていただきたいので、作り置きはしません。」と恭之さん。栗を洗ったり、蒸したりするのに使う水は、地下約100mから汲み上げるという。

 一杯のお茶とともに差し出された包みを開けると、上品な茶巾絞りの「栗金飩」が姿を現した。思わず顔がほころぶ。少しずつ愛おしむように口に運ぶと、栗の生きた風味がほわっと広がる。栗を育んだ森の香りだ。ほんの少しつぶつぶ感が残っているのもまた良い。「うちでは栗の粒が残るホクホクした食感にこだわっているため、短時間で炊き上げています。長時間炊き込むと、ねっとりした甘みが出て、うちの味ではなくなってしまうので。」

 これからも伝統の味を守りながら、店に来てくださる方を大切にしたいという恭之さん。八百津町の豊かな森と水が育んだ和菓子には、心を和ませてくれる素朴なやさしさが詰まっている。